「退職すると失業保険をもらえるらしいけど、自分はいくらもらえるのかな?」「いつもらえるんだろう?」と悩んでいませんか?
結論から言うと、失業保険の給付金額は退職前の給与合計と年齢を元に計算することができます。
また、給付日数に関しては、退職理由や雇用保険の加入年数、年齢といった要素を基準に決定されます。

目次で流し読み
もし、あなたが失業保険の受給を考えているのなら、ぜひこのページを最後まで読んでいただきたいです。
そうすれば、失業保険の制度について詳しく理解でき、失業手当の制度をフル活用できるようになるでしょう。
失業保険の給付金額を計算する3つのステップ


- 離職前6ヶ月間の給料合計額を出す
- 給料合計額を参考に賃金日額を求める
- 離職時の年齢と、賃金日額をもとに、基本手当日額を求める
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
①退職前6ヶ月間の給与合計を計算する


過去に支給された給与は、給与明細だけではなく退職時に受け取ることが可能な「離職票2」にも記されているので、それをもとに確認しましょう。
②給料合計額を参考に、賃金日額を求める

基本手当日額の計算
①で求めた退職前6ヶ月の間に支払われた給与合計 ÷ 180日(30日×6ヶ月) = 賃金日額
③離職時の年齢と、賃金日額をもとに、基本手当日額を求める

賃金日額が計算できたら、次は離職時の年齢に注目しましょう。
年齢によって給付率が変わり、区分は以下の4パターンに分類されます。
- 29歳以下または65歳以上
- 30~44歳
- 45~59歳
- 60~64歳
なお、以下のデータは平成29年8月1日に更新された厚生労働省のデータを参考にしております。
離職時の年齢が29歳以下または65歳以上の場合
賃金日額 | 給付率 | 計算式 | 基本手当日額 |
2,470円 ~ 4,940円 | 80% | 1 | 1,976~3,951円 |
4,940円 ~ 12,140円 | 80~50% | 3 | 3,952~6,070円 |
12,140円 ~ 13,420円 | 50% | 2 | 6,070~6,710円 |
13,420円 ~ | – | – | 6,710円(上限額) |
- 0.8 × 賃金日額
- 0.5 × 賃金日額
- {(-1×賃金日額×賃金日額)+(24,140×賃金日額)}÷ 24,000
離職時の年齢が30歳~44歳の場合
賃金日額 | 給付率 | 計算式 | 基本手当日額 |
2,470円 ~ 4,940円 | 80% | 1 | 1,976~3,951円 |
4,940円 ~ 12,140円 | 80~50% | 3 | 3,952~6,070円 |
12,140円 ~ 14,910円 | 50% | 2 | 6,070~7,455円 |
14,910円 ~ | – | – | 7,455円(上限額) |
- 0.8 × 賃金日額
- 0.5 × 賃金日額
- {(-1×賃金日額×賃金日額)+(24,140×賃金日額)}÷ 24,000
離職時の年齢が45歳~59歳の場合
賃金日額 | 給付率 | 計算式 | 基本手当日額 |
2,470円 ~ 4,940円 | 80% | 1 | 1,976~3,951円 |
4,940円 ~ 12,140円 | 80~50% | 3 | 3,952~6,070円 |
12,140円 ~ 16,410円 | 50% | 2 | 6,070~8,205円 |
16,410円 ~ | – | – | 8,205円(上限額) |
- 0.8 × 賃金日額
- 0.5 × 賃金日額
- {(-1×賃金日額×賃金日額)+(24,140×賃金日額)}÷ 24,000
離職時の年齢が60歳~64歳の場合
賃金日額 | 給付率 | 計算式 | 基本手当日額 |
2,470円 ~ 4,940円 | 80% | 1 | 1,976~3,951円 |
4,940円 ~ 10,920円 | 80~45% | 3 | 3,952~4,914円 |
10,920円 ~ 15,650円 | 50% | 2 | 4,914~7,042円 |
15,650円 ~ | – | – | 7,042円(上限額) |
- 0.8 × 賃金日額
- 0.5 × 賃金日額
- {(-7×賃金日額×賃金日額)+(130,260×賃金日額)}÷119,600 または(0.05×賃金日額)+4,368 のいずれか低いほう
基本手当日額の計算方法を具体例でおさらい!


例 : 25歳で退職した場合(毎月の給与支給額30万円)
ここからは具体例で基本手当の計算方法をおさらいしていきましょう。
- 離職前6ヶ月間の給料合計額を出す
- 給料合計額を参考に賃金日額を求める
- 離職時の年齢と、賃金日額をもとに、基本手当日額を求める



賃金日額 | 給付率 | 計算式 | 基本手当日額 |
2,470円 ~ 4,940円 | 80% | 1 | 1,976~3,951円 |
4,940円 ~ 12,140円 | 80~50% | 3 | 3,952~6,070円 |
12,140円 ~ 13,420円 | 50% | 2 | 6,070~6,710円 |
13,420円 ~ | – | – | 6,710円(上限額) |
- 0.8 × 賃金日額
- 0.5 × 賃金日額
- {(-1×賃金日額×賃金日額)+(24,140×賃金日額)}÷ 24,000

失業保険の給付日数は退職理由によって異なる


失業保険が受け取れる期間は退職理由や被保険者期間で異なりますが、90日〜330日と決められています。
この、失業保険が受け取れる日数のことを所定給付日数といいますので、覚えておきましょう。
ここからは、退職理由ごとに所定給付日数を見ていきます。
そもそも退職理由の違いって一体なに?という人は、『退職前に必読!自己都合退職・会社都合退職の違いとは?』で解説していますので、合わせてご覧ください。
自己都合退職の場合、給付日数は最長で150日間


被保険者期間ごとに見ていきましょう。
被保険者期間 | 給付日数 |
1年未満 ~ 10年未満 | 90日 |
10年以上~20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
会社都合退職の場合、給付日数は最長で330日間


また、会社都合退職の場合、給付日数は年齢と在職中における雇用保険の加入期間によって決定します。
1年未満 | 1~4年 | 5~9年 | 10~19年 | 20年以上 | |
29歳以下 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30~34歳 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35~44歳 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45~59歳 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60~64歳 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |


失業保険を最大限受け取るには離職6ヶ月前の給与を増やそう


前述しましたが、1日あたりにもらえる失業保険の受給額は、離職前6ヶ月間にもらった給料の平均から計算します。
そう考えると、元となる離職前6ヶ月間の給与合計を増やすことで、失業保険の受給額も増えることがわかりますね。
そのため、退職前に残業や休日出勤などを増やしておくのが失業保険を多くもらうコツとなります。
ただし、健康保険の任意継続をする場合は注意!


社会保険に加入しており、継続して2ヶ月以上の被保険者期間がある場合、退職後には「国民健康保険に加入する」「健康保険を任意継続する」かの選択が可能です。
注意が必要なのは会社の健康保険を任意継続する場合で、健康保険料は在職中の4月~6月の給料をもとに算出されます。


まとめ
- 受給金額は離職時の年齢と、賃金日額をもとに計算できる
- 受給期間は退職理由によって異なる
- 受給金額を増やすコツは退職前6ヶ月間の給与を増やすこと
基本ルールさえ押さえておけば、退職前の残業量を調整するなどして金額を増やすことも可能です。
失業保険についてしっかりと学んでおき、退職後の金銭面の不安を少しでも解消できるように計画を立てておきましょう。
あわせて読みたいコンテンツ
失業保険の受給時期や手続き方法について解説しています。

退職理由の違いについて詳しく解説しています。